日本神話(古事記上巻) 
ーーーーーーーーー
古事記「こじき」(「ふることぶみ」と読む)は、日本最古の書物。
天地の始まりから、神々が生まれて世界をつくっていく物語。 神話や伝説などが書かれています。
神代から推古天皇までを、上・中・下巻の3巻から成っていて、このうちの上巻は神代にあてられており、神々の世界が描かれている。 天地開闢から始まって天孫降臨に至るまでが書かれています
ーーーーーーーーーーーー
古きことの始まりのお話
〇.天地開闢(てんちかいびゃく)
     天と地が別れ神様が生まれた
.国の始まり(イザナギとイザナミ)
2.黄泉(よみ)の国
3.天の岩戸
4.やまたのおろち
5.いなばの白ウサギ
6.根の国の物語
 《八十神の迫害》
 《根の国訪問》
7.オオクニヌシの国作り
 《小さな神さま》国作り
8.国譲り(葦原中国の平定)
9.天孫降臨
10.日向三代
11.海幸彦と山幸彦
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
【国の始まり】
伊耶那岐(イザナキ)と伊耶那美(イザナミ)は、別天津神から「天沼矛(あめのぬぼこ)」という矛を渡され、大陸を作るように命じられます。
「天浮橋(あめのうきはし)」に立ち、地上を矛でかき混ぜます。その際に矛から滴り落ちたものが蓄積され「淤能碁呂島(おのごろじま)」が誕生します。
そこに降り立った2神は 、恋に落ち
、夫婦になり最初に生み出したものが淡路島。そこから順に九州や四国、隠岐島などを生み出し、最後に本州も生みました。
計8つの島が誕生したことで、大八島国と呼ばれ、日本の国土の始まりになりました。
ーーーーーーーーーーーー
【黄泉(よみ)の国】
火の神を生んだことで身を焼かれ、異界に行ってしまった妻イザナミを連れ戻すため、イザナキは黄泉国(よもつくに)へと出向く。イザナキは、出迎えに来たイザナミに戻るように説得するが、イザナミは黄泉の国の食物を食べると、現世には戻れない決まりになっているので、もう帰れないと言う。けれど、黄泉神と相談してくるから、その間決して中を覗いてはならないと言って、イザナキを待たせるが、なかなか戻ってこない。待ちきれなくなったイザナキは、中を覗いてしまう。すると、そこには躰(からだ)の八箇所に恐ろしい雷神がいる変り果てたイザナミの姿があった。驚き恐れたイザナキはその場から逃げ出すが、イザナミは見られたことに怒り、鬼女や雷神を追っ手に遣わす。とうとう雷神に追いつかれてしまう。そこでイザナキは、そこに生えていた桃の実を使って雷神どもを追い返す。すると今度はイザナミ自身が追いつき、イザナギは、急いで重い大岩で、地上との境目を塞ぎました。
イザナギとイザナミは、岩を挟んで向かい合いました。
イザナミは、「あなたがそのようにするのであれば、私は、毎日、あなたの国の人々を1,000人殺します。」と呪いの言葉を言います。
すると、イザナギは、「だったら俺は、毎日、1,500の産屋(1,500人が生まれること)を建てます。」と誓いを立てます
こうして、この国では、毎日1,000人の人が死ぬこととなり、そして毎日1,500人の人が生まれることとなりました。これが人口増加の起源というわけです。
ーーーーーー
黄泉国(よもつくに又はよみのくに)から逃げ帰ったイザナキは、黄泉国のけがれを祓(はら)おうとして日向(ひむか)で禊(みそぎ)をする。そこで自身が身につけていたものや体に付着していたものを払ったところ、そこから様々な神が出現するのだが、最後に左の目を洗ったところ天照大御神(アマテラスオオミカミ)が、右の目を洗ったところ月読命(ツクヨミノミコト)が、鼻を洗ったところ須佐之男命(スサノオノミコト)が出現した。
ーーーーーー
アマテラスに高天原を、ツクヨミに夜の食国を、そしてスサノオには海原を統治するように命じた。
ところが、スサノオは、自分は亡き母のいる根(ね)の堅州国(かたすくに)に行きたいと言って泣いてばかりいて、そのおかげで父のイザナキの怒りを買って追放されてしまう。その後は高天原(たかまのはら)に行って姉の邪魔をし、大暴れをする。
→「天の岩戸」へ続く
ーーーーーー
【天の岩戸】
高い空の上に、高天原(たかまがはら)という神々のお住まいになっている所がありました。そこには日の神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)様という神様がいらっしゃいました。
その弟に須佐之男命(すさのおのみこと)という力自慢で、いたずら好きな神様がいました。
ある時、大御神さまが機はたを織っておられると、須佐之男命は大御神さまを驚かそうと、御殿に忍びより、天井からドサッと馬を投げ入れました。
これには日頃やさしい大御神さまも、さすがにお怒りになられ、天の岩戸という岩屋に隠れてしまわれました。
さぁ大変です。世の中はもう真っ暗闇です。悪いことが次々に起こり出しました。 困り果てた八百万(やおろず)の神々は、問題を解決しようと話し合いを行いました。
そこで、思兼神(おもいかねのかみ)という賢い神様がよい案を考えました。準備ができると、天宇受売命(あめのうずめのみこと)という舞いのうまい神様は、舞い始めだしました。神様たちは手をたたいたり、笑ったり、しまいには歓声をあげたりしました。
外が余りにもにぎやかなので、大御神さまは不思議に思われ、岩戸を少し開いてみました。
その時、力の強い天手力男神(あめのたぢからおのかみ)は、力いっぱい岩戸を開きました。 真っ暗だった世の中もみるまに明るくなり、神様たちも大喜びです。
高天原にもまた平和がもどってきました。
須佐之男命は厳しく罰せられ、高天ガ原から追放されました。
→「やまたのおろち」へ続く
ーーーーーーーーーーーー
【やまたのおろち(八俣大蛇)】
日の神・天照大神(アマテラス)の弟であるた須戔鳴尊(スサノオ)は、神様の国でさんざん乱暴をしたため、外界へと追い出されてしまい、出雲に降り立ちました。
川岸を歩いていると老夫婦が泣いていて、8人の娘がいたのですが、毎年ヤマタノオロチがやってきて1人ずつ食べられてしまい、残る娘は『奇稲田姫(クシナダヒメ)』ただ一人。そして間もなくクシナダヒメを食べにヤマタノオロチがやってくる時期だったのです。事情を知ったスサノオは、クシナダヒメと結婚することを条件に、ヤマタノオロチ退治を買って出ました。8つの器に酒を入れてヤマタノオロチの出現を待ちました。するとヤマタノオロチが現れて、8つの頭を器に突っ込み、酒を飲み酔っぱらって寝てしましました。スサノオは、剣を抜いて斬りかかり、ヤマタノオロチを退治しました。倒れたヤマタノオロチの尾を切ると見事な太刀(天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)またの名を草薙(くさなぎ)の剣)で、スサノオはそれをアマテラスに献上します。
クシナダヒメと結婚したスサノオは、出雲の須賀に宮を作り、そこで結婚をし、子神を誕生させる。子神はさらに次々に次代の子神を生んでいく。やがてスサノオの六世孫として誕生したのが大国主(オオクニヌシ)であった。
→「因幡の白兎」へ
ーーーーーーーーーーーー
【因幡の白兎】
(いなばのしろうさぎ)
海の向こう側に渡りたかった白うさぎは、サメ(ワニと呼ばれている)に、うさぎとサメのどちらが多いか比べようと提案しました。
サメを1列に並ばせて、サメの背中の上を跳んで海の向こう側まで渡ることに成功しました。サメに嘘をついたことが分かり、怒ったサメに皮をはがされてしまいます。
そこに通りかかった大勢の神様(大国主(オオクニヌシ)の兄弟神達:八十神(やそがみ))は、因幡の国に美しい姫・八上姫(ヤガミヒメ)がいると伝え聞き、この姫をめとろうと考えて、因幡に来たのであるが、皮をはがされたうさぎたに、意地悪をして「海水を浴びて風に当たるように」と言い、その通りにすると、もっと痛くなりました。
最後に通ったのが、優しい神様の大国主(オオクニヌシ:若い時はオオナムジと呼ばれていました)がやってきました。
オオクニヌシは、「真水で体を洗いガマの穂をほぐしたところに寝っ転がりなさい」と言いました。その通りにすると、キズも治り元の姿になりました。
これを見たヤガミヒメは、心優しいオオクニヌシと恋に落ち結ばれます。
→「根の国の物語」へ続く
ーーーーーーーーーーーー
【根の国の物語】
ーーーーーー
《八十神の迫害》
因幡国の八上比売(ヤガミヒメ)と大穴牟遅神(オオナムヂ、後の大国主(オオクニヌシ))が結ばれたことを知った兄弟神(八十神)たちは怒り、嫉み、オオクニヌシを殺そうとします。
因幡国から帰り道、兄弟神たちは「この山に赤い猪がいる、わしらが山から追い降ろすので、お前は下で捕まえろ」とオオクニヌシに言う。兄弟神が山上で焼いた真っ赤な大きな岩を転がし、オオクニヌシは大火傷で死んでしまいます。
これを知ったオオクニヌシの母神「刺国若姫命(サシクニワカヒメノミコト)」が天上の神にお願いをして、オオクニヌシは生き返った。
これを見た兄弟神たち、直ぐに次の策を考えます。 今度は大きな木に挟み殺してしまいます。 この時も母神が生き返らせますが、このままだと本当に殺されてしまうと心配し、 紀伊国の「大家毘古之神(オオヤビコノカミ)」の元へ逃がします。
ところが、兄弟神たちは諦めず、追いかけてきます。オオクニヌシは紀伊の国に行けず、ついに、母神は「須佐之男命(スサノヲノミコト)」がいる「根の堅州国(ねのかたすくに)」へ逃げる様伝え、根の国に渡ります。
ーーーーーー
《根の国訪問》
根の国で、オオクニヌシは美しい姫神でスサノヲノの娘神「須勢理毘売命(スセリビメノミコト)」と恋に落ち結ばれます。
しかし、娘神の父親であるスサノヲは、オオクニヌシがどうも気に入らないので、様々な試練を与えます。
最初の試練は「蛇が沢山いる寝室で寝る」でした。 彼氏に何かあっては大変と、スセリビメは「蛇が襲ってきたら、この領巾(ひれ)を3回降ればよい」と言い、呪力の布を渡す。これでオオクニヌシは無事に1つ目の試練を乗り越える。 
次は「ムカデとハチがたくさんいる寝室で寝る」でしたが、これもスセリビメの計らいで乗り越えた。
与えられた試練を次々に乗り越えるオオクニヌシに、スサノヲは、次は広い野原に矢を放ち、「あの矢を拾ってこい」と命じ、オオクニヌシが野に入ると、スサノヲは野原に火を放ったのです。
オオクニヌシは「もはやこれまで」と諦めかけると、ネズミが現れ「中はほらほら、外はすぶすぶ」と告げ、地下に空洞があることを知らせます。オオクニヌシは空洞に入り炎をやり過ごし助かります。 さらにネズミはスサノヲの矢も探してきてくれました。
手に矢を持ち現れたオオクニヌに、スサノヲはまだ試練を与えます。
次は、スサノヲはオオクニヌシを家に招き「ワシの頭のシラミを取れ!」と命じます。
スサノヲの頭には、シラミではなくムカデがいました。 オオクニヌシはスセリビメからもらったムクの実と赤土を口に含んで吐き出します。
これを見たスサノヲは、ムカデを口の中で噛み潰していると勘違いし、感心します。
心を許したのか、スサノヲは眠ってしまいました。 これを見たオオクニヌシは、スサノヲの長い髪を柱に結びつけ、大きな岩で入口を塞ぎ、スセリビメを背負い逃げだします。
手にはスサノヲの宝物の太刀、弓矢、琴を持って、逃げ出せたと安心したその時、琴が木にあたり、鳴り響きました。 この音を聞いたスサノヲは、目覚めましたが、柱に結びつけられた髪が邪魔で追いかけられません。
どんどん逃げるオオクニヌシと、追いかけるスサノヲは、地上との境まで追いかけ、「お前が奪った太刀と弓矢で兄弟神を追い払い、スセリビメと結婚し大きな宮殿を建てて住め!」と叫びます。
スサノヲはついにオオクニヌシに、この大国の大王になれといい、結婚を許したのです。
オオクニヌシはスセリビメを妻とし、出雲の国造りを始めます。
しかし、最初に結ばれて子を身ごもっている因幡のヤガミヒメは、そんなことを知るわけもなく、オオクニヌシに会うために、因幡国から出雲国を訪れます。
しかし、ヤガミヒメは、嫉妬深いスセリビメを恐れ、泣く泣くオオクニヌシを諦め因幡国へ帰ります。
ーーーーーーーーーーーー
【オオクニヌシの国作り】
兄弟神(八十神)を追い払うために、出雲の国に戻った(オオナムチ改め)オオクニヌシは、早速スサノオに言われた通り、大刀と弓矢を使って八十神をすべて退けました。
そして、正式にスセリビメを妻に迎えたオオクニヌシは山のふもとの岩の根に宮柱を立て、高天原に届く様な立派な新宮で国作りをはじめたのです。
ーーーーーー
《小さな神さま》国作り
ある日、オオクニヌシが海辺にいたところ、「スクナヒコナ(少彦名命)」という小さな神様が船に乗ってやってきました。このスクナヒコナは医薬、酒造り、五穀豊穣、温泉など様々なことに知識が豊かで、国作りのパートナーとして、オオクニヌシを手助けしてくれたそうです。
その後のスクナヒコナは、粟の茎(くき)で遊んでいる時に、くきに弾かれてしまい、海の果の常世国に去っていきました。
この小さな神様が、「一寸法師」の元になった物語だと言われています。
こうして作られたオオクニヌシの国は「葦原中国(あしはらのなかつくに)」と呼ばれ、とても栄えました。
ーーーーーー
《国譲り(葦原中国の平定)》
高天原からその様子を見ていたアマテラスは、やがてオオクニヌシの国を我が子に治めさせたいという願望を持ちはじめます。
そこで、アマテラスは、長男であるアメノオシホヒヒに、葦原中国を治めるように命令します。アメノオシホヒヒは、天の浮橋まで降りますが、地上世界はとても騒がしく、嫌になって途中で引き返します。
アマテラスは、高天原の神々と相談して、まずはアメノオシホヒヒの弟にあたるアメノホヒを派遣するが、この神はオオクニヌシを尊敬して家来になってしまって、帰ってこなかった。
次に派遣したのが、アメワカヒコ。この神は自らが地上の主になろうという野心を抱いていたために、自分が天上界に放った矢を投げ返されてその矢に射られて死んでしまった。
そこで、神々が協議した結果、3番目に派遣した神がタケミカヅチですが、アメノトリフネ(神でありながら同時に舟でもある)を連れて行くことになりました。
そして、オオクニヌシに天つ神の意向を伝えたところ、オオクニヌシは、息子に決めさせると言い、息子の神であるヤエコトシロヌシに決めさせますが、服従してしまいます。
しかし、オオクニヌシには他にタケミナカタという力持ちの息子の神もいました。
タケミナカタは、服従したヤエコトシロヌシとは違って、力比べで決めようとしますが、タケミカヅチはタケミナカタを投げ飛ばしたので、タケミナカタは服従させられます。
こうして、オオクニヌシは、自分が住まう立派な宮殿を建ててもらえると言う事で、葦原中国を譲り、二度とこの地から出ないこととなりました。
この立派な宮殿が現在島根県にある神社「出雲大社」であると言われています。
ーーーーーーーーーーーー
【天孫降臨(てんそんこうりん)】
タケミカヅチの働きによって、ようやくアマテラスは子神を降臨させることができるようになりました。
アマテラスは、当初予定していた長男のアメノオシホヒヒに、改めて降臨を命じたところ、アメノオシホヒヒは自分に子ができたので、この子神を降臨させようと言う。その子が
ニニギである。ニニギはアマテラスから授かった三種の神器(鏡、剣、勾玉)をたずさえ、他の神々を連れて、高天原から筑紫(つくし)の日向(ひむか)の高千穂(たかちほ)峰へ降臨(天下る)した。
ニニギは、とても良いところだと言って、壮大な宮殿を立てた(これが高千穂宮である)。
ーーーーーーーーーーーー
【日向三代(ひむかさんだい)】
(ひゅうがさんだいとも呼ぶ)
「この時代のニニギ、その息子ホオリ、そしてその息子のウガヤフキアエズの3代を中心とした物語」
日向に降臨したニニギは、その後、一人の美女に出逢います。
名を尋ねたところ、大山津見(オオヤマツミ)神の娘で木花佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)であるという。ニニギは求婚するが、娘は、返事は父がするという。話を聞いた父神はたいそう喜び、姉の石長比売(イワナガヒメ)と二人とも併せて嫁がせます。
しかし、姉のイワナガヒメはたいそう醜かったので、ニニギはイワナガヒメだけを返してしまいました。父神は怒り、歴代天皇の命は木の花のようにはかないものになるであろうと言った。
そして、アマテラスの子孫もまた、あらゆる生きとし生けるものと同様、「死と誕生」を繰り返しながら、命を繋いでゆくことになったのです。
ニニギと結婚したコノハナノサクヤヒメは一夜にして身ごもった。ニニギは一夜で身ごもるとは、自分の子供ではないのではないかと疑念をもった。このことを大変悲しんだヒメは、潔白を証明しようと、出口のない産屋に入り、火を放って無事に出産することで身のあかしをたてます。次々に三人の男子を出産します。まず火照(ホデリ:海幸彦)、次に火須勢理(ホスセリ)、最後に火遠理(ホオリ:山幸彦)。
「海彦山彦」へ続く
ーーーーーーーーーーーー
【海幸山幸(うみさちやまさち)】
海での漁を得意とする兄の海幸彦(ホデリ)と、山での猟が得意な弟の山幸彦(ホオリ)という兄弟がいました。
ある日、山幸彦は、しぶる兄を何とか説得して、1日だけ二人は道具を交換したのですが、山幸彦が兄の海幸彦の大事な釣り針を失くしてしまい、兄を怒らせてしまいます。
困り果てた山幸彦は、自分の剣を潰して1000もの釣り針を作りますが、それでも海幸彦は納得せず、もとの釣り針を返せと言って聞きませんでした。
山幸彦が涙を流し海辺にたたずんでいると、そこに潮の神様であるシオツチが現れて、なぜ泣いているのかと問いました。山幸彦が今までのいきさつを話すと、シオツチは海の神であるワタツミの宮へと案内をしてくれたのです。
ワタツミの宮殿に着いた山幸彦は、そこでワタツミの娘であるトヨタマヒメ(豊玉姫)とたちまち恋に落ち、結婚することになりました。こうして幸せな生活を過ごしていた山幸彦でした。釣り針のことをすっかり忘れて3年間も経ったある日、自分がこの宮殿にやってきた本当の理由を思い出します。山幸彦がため息をついていると、トヨタマヒメは、すぐ魚を呼び集め、赤鯛の喉に引っかかっている釣り針を探し出してくれました。
山幸彦は、海神ワタツミから海の力を操る珠(たま)をもらい、宮殿をさりました。
そして、海幸彦に釣り針を返しました。しかし、その後も兄と対立しましたが、海神がくれた珠(たま)の力で、兄を降伏させ、山と海、両方の力を手に入れました。
山幸彦は帰ってしまったのですが、
トヨタマヒメは子供を身ごもっていて、出産のため陸に上がってきました。山幸彦に絶対に産屋を覗いてはいけないと言い、産屋に入りました。しかし、山幸彦はひそかに産屋を見てしまいます。そこに妻の姿はなく大ワニ(サメのこと)が身をくねらせているではないか。山幸彦はびっくり仰天、トヨタマヒメのほうも見られたことをとても恥ずかしく思い、子供(ウガヤフキアエズ)を残して、宮殿へと帰って行った。
後に、このウガヤフキアエズは、トヨタマヒメの妹「タマヨリビメ」と結婚し、四柱の神を出産。長男がイツセ(五瀬)、次男がイナヒ(稲氷)、三男がミケヌ(御毛)、四男がワカミケヌ(若御毛沼):カムヤマトイワレヒコとも呼ぶ)で日本最初の天皇である神武天皇です。
つまり山幸彦は、神武天皇の祖父に当たる人物となったのです。
次男のイナヒは「妣ははの国」として海原に入り、三男のミケヌは常世国(とこよのくに)に渡った。
記)山幸彦が海の宮殿に行った物語は、浦島太郎の物語のモデルとなる説があります。
・・・・・
長男と四男の物語が、【中巻】へと続きます。
inserted by FC2 system